2013年9月1日施行

第33条

タイヤのコンディションを理解せよ


サーキット走行によるタイヤの負担は予想以上に大きいので、ドライバーには様々な配慮が求められる


 サーキット走行を行なうクルマのセッティングを考えるうえで、最も基本的なことはタイヤの特性を理解することだ。まずは、装着しているタイヤの冷えた状態と温まった状態でのグリップ差を把握し、タイヤエア圧を色々試してみる。公道上では一度タイヤエア圧を決めれば変更することは少ないが、サーキット走行では話は別。タイヤのコンディションはラップタイム、走行フィーリングに大きく影響を与えるので、タイヤ交換やタイヤエア圧調整は簡単でありながら奥の深い事を知っておこう。タイヤの消耗状態や路面のコンディション、走行時の外気温などが異なれば、それぞれにベストなタイヤエア圧がある。まずは基本的な事から。
 サーキット走行料金が高いために、時間の許す限りひたすら走り続けてしまいがちだが、ある程度サーキット走行に慣れたら、完璧なタイヤチェックをする方が速く上手に走る近道になる。ピットインしてエア圧チェックを行ない、詳細をメモしておく習慣を付ける事がオススメだ。ただしビギナードライバーに関してはちょっと違う。仮に真夏のサーキットを30分間走り続けたとしよう。全部で20ラップして全てのラップタイムを計測したら、ベストタイムは何ラップ目だっただろうか。前半10ラップの中にベストタイムがあれば、とりあえずサーキットドライバーとしての第1段階クリアなので、次の段階としてタイヤエア圧をチェックするドライバーになろう。後半10ラップの中にベストタイムがあるようなら、マメなタイヤエア圧チェックを行なうよりも走り込む事が先決。真夏の場合、連続走行の後半は水温・油温が高めになりエンジンパワーが下がり気味(エンジンの熱ダレ)になり、またタイヤの表面温度が高くなり過ぎてタイヤグリップが低下してくる。つまりクルマのコンディションが悪くなる後半にベストタイムが出るのは、ドライバーがサーキットのコースレイアウトに不馴れであるとか、クルマの性能を引き出せていない可能性が高い。クリアラップの取れない混雑した場所で走り続けていたり、コース状況を把握するのに時間がかかったり、ブレーキングやライン取りにムラがあるなど、根本的にサーキット走行に慣れていない場合が多い。こんな場合にはタイヤのエア圧以前の問題なので、まずは自動車メーカーの指定値で走ればいい。ベストタイムをマークするのが毎回前半になってからベストなタイヤエア圧セットを探る事にしよう。例外があるとすれば、減るほどにグリップ力の上がるタイヤやハードコンパウンドのタイヤを装着した場合だが、タイヤ表面温度が100度近くにも達する事のある真夏のコンディションでは、問題外と考えていいだろう。真冬の場合には判断が難しいが、60〜80度くらいの適正温度で急激にグリップ力を発揮するスリックタイヤや、固めのコンパウンドを使ったSタイヤでも3〜5ラップすれば、ほぼベストグリップを引き出せるので、コースインから10周以内にベストタイムをマークできるように練習して欲しい。少ない周回数でベストタイムをマーク出来るドライバーになれば、クルマに余計な負担をかけずに済むので、サーキット走行のランニングコストを下げる事にもつながるのだ。

ドラテク皆伝第34条

ドラテク皆伝第32条

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