2013年5月1日施行

第30条

駆動方式とタイヤの関係その2


GT−R(R32〜34)はプログラミングで2WDと4WDの長所を組み合わせた駆動システムを採用する
(ファルケンアゼニスタイヤテスト)

「単純に考えると、コーナリング性能は2WD、直進時のトラクションは4WDが有利なのである」というのは第29条での結論。2WDのコーナリング特性は一般的に4WDより素直である理由はここにある。では2WD同士のFFとリヤ駆動代表としてFRを比較してみよう。この場合にはアクセルオンの時に、荷重移動とタイヤの基本特性を無視するだけでは、充分な違いが説明できなくなるので荷重移動にも簡単に触れておこう。
 アクセルオンの時にはリヤタイヤの荷重がフロントタイヤに比べて大きくなる事は理解できるだろうか? 理解できない人はトラックの荷台に後ろ向きに座ってみよう。トラック程度の加速力でも、発車する瞬間は間違いなく進行方向後ろ側に飛ばされそうになるから。その後ろ向きの力を最終的に受け止めているのは、リヤタイヤのグリップ力なのである。バンピングするサスペンションと言っても間違いではないが、タイヤのグリップ力があるからサスペンションにはバンピングが発生する。またタイヤのグリップ力は、そのタイヤの耐荷重キャパシティ内ではタイヤが受け止める重さ(車重と移動している前後左右荷重の合計)に比例する。消しゴムで紙をこすればわかるね。力を入れないと字は消えないが、力を入れすぎると紙が破れてしまう。グリップ力を発揮するには、タイヤにほどよい重さ(力)を加える必要があるのだ。これで結論が出た。加速するときにリヤのタイヤに力が加わる方が有利だから、アクセル開けた瞬間はFRの方がFFよりも駆動輪のタイヤグリップがよさそうだ。こんな基本原理があって、クルマはずうっとFR車が基本的な駆動方式だった。エンジンパワーやブレーキ性能が上がってタイヤの縦方向のグリップ力をたくさん使うようになったり、また実用面で乗用車の室内空間を拡大する必要が出てくるまではね。こうして入門部分だけを説明しても駆動方式を意識する必要性を感じるでしょ。サスペンションのことや、物理的なことを理解してくれないと説明が難しい事も多いので、面倒な方は理屈抜きで体感で覚えればドライビングに問題はない。ただし、サーキット走行などでサスペンションセッティングを行なおうと考えた場合には、基本だけでも理屈を知っておいた方がトラブル解決やリファインへは近道となる場合が多いだろう。

ドラテク皆伝第29条

ドラテク皆伝第31条

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