2011年12月1日施行

第21条

クルマを知ること素朴編

 いきなり抽象的な表現だ。いきなり「クルマを知りなさい」と言われても困るね。いったい何を知ればいいんだ? クルマはガソリンや軽油などの燃料をエンジン内で燃焼させて、熱エネルギーを運動エネルギーに変えて・・・ということではない。ドライビングテクニックでクルマを知ることとは、ドライバーが運転しながら操作できる範囲でのこと。ステアリング、アクセルペダル、シフトレバー、ブレーキペダル等など。マニュアル車ならば、加えてクラッチペダルがドライバーの操作する部分。ではステアリングをクルクル回すのに「クルマを知ること」が必要なの? ステアリングを回したらフロントタイヤが動いてクルマが曲がることくらい誰でも知っているでしょ!

     −では、どうしてステアリングを回しても曲がりきれないことがあるの?
      それはスピードを出し過ぎているとか、路面が滑りやすいからに決まっている。
     −では、なぜ滑りやすい路面でスピードを出すの?
      それは急いでいたから。自分では曲がれると思っていた。
     −スピードの出し過ぎに注意しましょう!

 これでは長〜い連載をわざわざ読む必要がなくなってしまう。曲がりきれないでコースアウトすることが趣味なら、保険金詐欺か自殺マニア。誰だってコースアウトなんかしたくないけど、ついついやってしまう。だったら「クルマを知ること」で解決する?

     −ドシャ降りのハイウェイで怖い経験したことない?
      あるある。路面のわだちに水が溜まっていて、いきなりクルマがスライドした。
     −運良くクラッシュは免れたようだけど、どのように対処するのがいいか知ってる?
      やっぱりスピードを落とすのがいちばんだから、アクセルを一気に緩めた。
     −登り勾配だった? 平坦だった? それとも下り勾配だった?
      いや、見通しが悪かったので全然覚えていない。
     −では、たまたまスライド体験した場所が下り勾配だったらどうなると思う?
      下り勾配なら滑りやすいだろうから、ブレーキも併用してさらに減速すべきでしょ。
     −そのとおりだね。でも、ついついスピード出し過ぎていたらどうするの?
      運を天にまかせる。運転を運天に任せるなんちって・・・

 とてもシンプル。多いでしょう、こういうドライバーさん。では素朴な疑問が幾つか出そろったところで、ドラテクに基づいて危機回避テクニックの話に入ろう。どことなく[事故避け]に近いネタだね。元々は一冊の書籍にまとめる予定で書いていた原稿だから仕方ないよ。

ドラテク皆伝第20条

ドラテク皆伝第22条

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