2010年4月1日施行

第13条 プロレーシングドライバーの原則?


99年鈴鹿サーキット/筆者にA-Carスポーツの醍醐味を教えてくれた1台



[ドライビングテクニックに優れているのがプロ?]



 サーキットで速く巧いドライバーが一般的に社会認知される方法を模索している。よりよい方法を導き出すためには現状認識が大切だ。そこで、F1を頂点に国内フォーミュラ、スーパーGTなどに参戦しているレーシングドライバーたちはどうなのか? 誰が彼らの速さを認め、プロドライバーと呼ばせているのだろうか?
 自動車メーカーやタイヤメーカーの開発に携わりながら全日本レベルのレースに参戦しているドライバー、雑誌をはじめとする自動車情報媒体のカーインプレッション等の仕事を引き受けながらレース活動するドライバーなどが一般的にプロレーシングドライバーと認知されているが、現実的には明確な定めや決まりはない。JAF発給(正確には国際的にモータースポーツを掌るFIAからの委託によりJAFが発給している)の国際B級ライセンス以上を所持しているドライバーは意外と多いのだが、プロレーシングドライバーと認知されていない方が圧倒的に多い。厳密な話をすればレーシングドライバーとプロドライバー(2種免許を必要とするバス・タクシーのドライバーや営業ナンバーを付けるトラックドライバーもプロドライバーと呼ばれるが、ここでいうプロドライバーはモータースポーツドライビングに携わるドライバーに限定)とは別のもので、前者はライセンスレースに参戦しているドライバー、後者は「ドライビング」を職業にしていたり、「ドライビング」することでギャランティが発生するドライバーのことである。ではプロレーシングドライバーと呼ばれる人達はどのようにして、その地位を得たのかを知りたくなるのが人情。多くのクルマ好きや入門レーシングドライバーたちが憧れ、目標にしている職業なのだから。
 では実際にプロレーシングドライバー達はプロになる方法を具体的に知っていてレース活動をしてきたのだろうか? 腕利きドライバー達からよく聞く質問。「どうすればレースで食っていけますか?」「レースに参戦したいのですが、どのくらいの費用を準備すればレースでやっていけるようになりますか?」「どうしたら雑誌の仕事ができるのですか?」「レーシングドライバーとしてやってゆきたいのですが」「タダでレース出来るようになれないですかね」などなど。仕事柄あいまいな受け答えは出来ないが、確信を持って返答することも窮めて難しい。それは資格を取るように具体的成果のあるものではないからだ。例えば公認会計士とか、税理士とか、行政書士の資格をとったとしよう。商売になる(儲かる)か、ならないかにかかわらず資格取得という結果がある。でもプロレーシングドライバーの場合は、商売になる以前に「資格を取った」という結果がないわけだ。ではどうすればよいのだろう?
 最低2年間以上のレース活動が出来る資金を準備したうえで、レースチョイスはライセンスレース。いかなるカテゴリーでもいいが1年以内にタイトル獲得、1年間の全レース結果を自らがターゲットに見据えるスポンサーに報告書とともに送付、いかなる手段を使ってでも媒体に露出する。レース活動以外に自分をアピールできる物事、つまり自分の人間的ポテンシャルを表現する方法を考える。普通の人がまともに考えればこんなところ。一般的アドバイスできるのはこのくらいで、あとは運次第。また活動中に出会える人、出会えるタイミングが明暗を分ける。では現役プロレーシングドライバーたちは皆同じ轍を踏むのだろうか? スポンサ−はどのように探せばよいのだろう?
 残念ながら現状では、いかに優れたドライビングテクニックを持っていても待っていては誰も声をかけてくれない。今から20年以上前であれば、サーキットで速く巧く走ることのできるドライバーは限られていたのでドライビングの才能があればプロとしてやっていける機会は多かった。今ではプロとしてやっていける速さを身に付けているドライバーは数多い。言い換えればプロドライバーを志すのであれば速いのは当たり前だ。原則を羅列しておこう。

クルマを壊さないドライバー
個性と行動力のある人物
人の立場に立って物を考えられる人柄
スター性のあるルックスと才能
自らの莫大な資金力または後ろ楯
レース業界関係者への強力なコネ
チャンスを待てる持久力と根性

 まだまだ色々あると思うので参考程度に考えてもらいたいが、根本的に人に教わるのでなく、自分で取るべき行動を考えられる人物こそ生き残ることは間違いない。プロレーシングドライバーを目指す読者の方は一考あれ。



ドラテク皆伝第12条

ドラテク皆伝第14条

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